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ずっと、きっと、もっと、会いに行くよ!

The Day

とてもお久しぶりです。
えふえふXVにどはまりしてまして、今日はまあ某軍師様の誕生日ですので…
何ヶ月ぶりだよって勢いで書きました。いや、ほんと、書かないと書き方忘れる。
元々ひどいのにもっとひどい。
とりあえず載せます。お誕生日おめでとう、大好きだよ。(唐突に告白)


※旅の途中、腐要素ゼロ
※そもそもこんな寒い時期に旅してんの?とか色々思ったけどそれ言ったら負けですよね。はい。
※定番ネタですいません


続きからどうぞ〜






早起きは三文の徳、とは言うものの、やはり苦手なものは苦手な訳で。
まだ薄暗さの残る早朝。すでに冷え切った体を擦りながら、欠伸を噛み殺しながら、洗い終わった皿をタオルで拭いていく。
昨夜は野宿だった。そして、今日は我らが軍師様の誕生日だ。
当の本人はまだテントで眠っている。
あいつがいつも朝食の準備をするよりも更に早く起きて、男三人がかりでせっせと食事を作っているこの状況、よくよく考えると奇妙極まりないな。

「なあ、こんなもんか」

隣で食材を切っていたグラディオが言う。まな板の上にはばらつきはあるものの食べやすい大きさに切られた肉が並んでいる。

「良いんじゃね?てか切るのうまいな」
「お前と一緒にすんな」
「あーーーっ!!?」

と、今度は反対側から悲鳴。フライパンで目玉焼きを焼いていたプロンプトだ。
朝からよくそんなにでかい声が出たもんだ、と感心してしまう程の大音量。見ると何やら黒い煙が上がっている。

「お前っ…何してんだ!?」
「ノクト!助けて!ねえ!」
「はぁ!?」

皿を置き急いで駆け寄るものの、時すでに遅し。卵が炭と化している。

「とりあえず火消せ、あと声がでけぇんだよ」

結局何も出来ないまま慌てふためく俺達を横目に、グラディオがさっさとコンロの火を止め、フライパンを取り上げた。
ここが屋外で本当に良かった。部屋の中なら煙が充満してたかもな。

「ま、この程度ならフライパンも無事だな」
「ご、ごめん…ちょっと目を離した隙に…!」

申し訳なさそうに小声で謝るプロンプトを見て、何だか既視感を覚えた。
自炊に挑戦しようとして、何個もフライパンを駄目にした自分を重ねてしまう。
今は少しはマシになったけど、一人暮らしを始めた頃はほんとにひどかったから。
イグニスには呆れられてたっけ。

「まだ時間もあるんだし、」
「………おはよう、?」

また作り直せばいいだろと言おうとしたところで、背後から声。

「…あ」
「ほーら、起こしちまった」

振り向くと、イグニスがテントから出て靴を履いているところだった。
いつもの起床時間より早いせいか、珍しくどこかぼーっとしているようにも見える。
いや、そんなことよりこれでサプライズは破綻決定だ。起きてびっくり、もう朝食が出来ている、という寸法だったのだが。
あれだけ騒げば目が覚めてもおかしくないか。

「お、おはよー、イグニス!」
「何してるんだ?こんな時間に」

引きつった笑顔で挨拶をするプロンプトの努力も虚しく、早速本題を聞かれてしまう。
ま、当然の疑問だよな。こうなったら言うしかないんだろう。

「ほれ、王子」

フライパンを片手に持ったままのグラディオに、ぽんと背中を叩かれる。…俺が言うのかよ。
この妙な空気の中で面と向かって言うのはどことなく気恥ずかしいが、どうせ言うつもりだったんだ。
そう自分に言い聞かせてゆっくりと口を開く。

「…誕生日、おめでと」
「………は?」

俺がそう言った途端、イグニスは目を見開いて固まってしまう。良い目覚ましになったらしいな。
とは言え想像以上の反応で少しほっとした。
驚かす計画は失敗に終わったが、それなりに驚いてくれたらしい。

「おっめでとー!今日は料理も運転も、全部俺達がやるから!ゆっくりしてて良いよ?」
「そういうことだ。まぁたまには良いだろ、こういうのも」

プロンプトが動きを完全に止めてしまったイグニスの腕を掴んで、椅子へと座らせる。
数度瞬きをしてから、思い出したようにジャケットのポケットから携帯電話を取り出し、画面を確認。
日付を見てようやく状況を理解したらしい。

「そうか…。それは、その…、ありがとう」

絞り出すようにして吐き出された言葉。顔を上げ、3人それぞれの顔を見回しながら言う。
いつも感情を顕著には出すことのないイグニスだが、その表情は見るからに柔らかいものだった。

「よっし!じゃあ気を取り直して料理再開っ!」

機嫌良くくるりと身を翻し、プロンプトはさっさとコンロの前へ戻った。
おいおい大丈夫かよ、とグラディオも続く。
その様子をどこか心配そうに目で追いながらも小さく笑っているイグニスを見て、俺までつい頬が緩んでしまった。

「やっぱ、誕生日だってこと忘れてたんだな」

椅子の背に片手を掛け、寄り掛かりながら言う。
何となくそんな気はしていた。こいつは昔からそうだ、自分のことは二の次。
俺が王子だからとか、そんなんじゃない。性格的にどうやら自分に対する興味は後回しになるらしい。
それにしたって、まさかあんなに驚くとは思ってなかったけど。

「仕方ないだろう。旅でそれどころじゃなかった」
「…ま、そりゃそーか」

車で移動して、あちこちでキャンプして、その間にもとにかく色々なことがあって。
日付の感覚が鈍くなるのもわからなくはない。
こうして穏やかな朝を迎えられることさえ最近ではままならなくなってきていて。

「ちょっとノクトー!サボリ禁止!」

と、いつの間にか食材を切る担当へ回されたらしいプロンプトが不満げに呼びかけてくる。
サボるつもりは毛頭ないから、はいはいと返事をしてから踵を返す。

(…と、そうだ)

プロンプト達の元へ行こうと一歩踏み出した時、随分と大事なことを忘れていたことに気が付いた。
渡すなら、恐らくもうこのタイミングしかない。

(あいつらに何言われるかわかんねぇしな…)

それはご免だ。すぐにバレるんだろうけど、ひとまず渡してしましたい。
近くの椅子に置いていたずっしりと重たい本に手を伸ばす。
持つと、ひんやりとした革の感触。まるで辞典のような、鈍器にでもなりえそうな本。

「イグニス、」
「!」

名前を呼ぶと、本人目掛けて本を投げ渡した。

「明日から、また頼むな」

ちゃんとキャッチしたのを確認してから、それだけ言って今度こそ二人の方へと歩き出す。
本当はどう渡そうかとか、何と言って渡そうかとか考えていた気もするが、全てはもうどうでも良いこと。
本を渡すという目的は達した。
これは一体何だ、というイグニスの問いかけが聞こえた気もしたが、聞こえないふりをした。

今日はまだ始まったばかり。まずは朝食作りから、だな。







温暖な気候と陽気な人々が溢れるこの街には、ラテン音楽がよく似合う。
どこからともなく聞こえる路上ミュージシャンが奏でる旋律は、心をより穏やかに、軽やかにしてくれる気がした。
夕暮れ時に到着した我々は、少し早めの夕食をとった。
本当は少し先の標まで行った方が良いと提案したのだが、誕生日くらいホテルで泊まらせてやりたいから、と三人に押し切られてしまった。
何しろ今日は運転手ではなかったから、行き先は彼らに一任する他なかった。

「どうだったよ、今日は」

レストランからホテルへ向かう途中の路地、前方でノクトとプロンプトが何やら騒いでいるところを眺めていると、
グラディオは徐に尋ねてきた。

「お前の言った通り、たまには悪くないな。朝食も思いの外美味かった」

その後三人が作った朝食は、見た目はともかくとして味は悪くなかったように思う。
目玉焼きと肉煮込み、それからスープとトースト。当然野菜は出てこなかったけれど。

「だろ?ま、お前さんのに比べれば劣るけどよ」
「料理と言えば、あれはどこで手に入れたんだ?珍しいレシピばかり載っているな」

すっかり聞きそびれていた。あれ、とは今朝ノクトから渡された分厚い本のこと。
革張りの表紙に金があしらわれた、いかにも希少価値のありそうなレシピ本だった。
そう言えば、無暗に物を投げるなと注意するのも忘れていたな。

「? レシピ?何の話だ」

尋ねたは良いものの、ぽかんとした顔でそう返されてしまう。
俺の勘違いだったのか?いやしかし、あれは間違いなくレシピ本だったし、状況から考えて誕生日の贈り物だったはずだ。
三人で今日一日の食事や運転をこなしてくれたということは、三人からの贈り物と考えるのが自然。
彼が知らないはずがない。

「……、あー、そういうこと、か」

数歩足を運ぶ間、互いに考え込んでから、口火を切ったのはグラディオの方だった。
独り言のように呟いてから続ける。

「そりゃあれだ、ノクト個人からのプレゼントだな」
「……、」

予想外の答えに言葉を詰まらせてしまった。
てっきり、たまたま俺に渡したのがノクトだっただけだと思い込んでいた。
個人から?プレゼント?しかも、あのノクトから。あんな渡し方で。

「あいつも可愛いとこあんじぇねーか。大切にしてやれよ、その本」

俺の反応に対してなのか、ノクトの行動に対してなのかはわからないが、けらけらとからかうように笑われる。
可愛いというかよくわからないというか、相変わらずだな、あいつは。

「…あぁ、早速明日にでも何か作ってやるさ」

その前に、言いそびれてしまった礼をきちんと伝えなければな。




「ここ良いんじゃない!?ここにしよ!」

その時、少し前を歩くプロンプトが立ち止まり、大きな声を上げる。

「写真、撮ろうぜ」

隣に並んでいたノクトも立ち止まる。こちらに振り向き、前方に見える広場を指して言った。

「…お。誕生日の記念に、ってか?」

グラディオは楽しげに頷くと、俺に目配せをしてから二人の元へ小走りで向かって行く。


写真なら今日じゃなくたって毎日撮っているし、誕生日である俺に意見を尋ねるでもなく、勝手に三人が決めてしまっている。
それどころか早く来いと催促される始末だ。

…そう、たまには悪くない。一日くらいこんな日があっても良い。
柄にもなく多少は浮かれているのが自分でもわかる。
改めてこの四人での旅で良かったと、彼らの仲間でいられて良かったと実感している。
この旅に、この先の未来に、不安がない訳ではない。しかし、


「…はい、撮るよー!」


写真の中の自分は、またひとつ歳を重ねた自分は、
確かにここで笑っていた。








The Day











***
The Day=最高の日

お疲れ様でした。なんかあっさりな内容になってしまった気が。
いやなんか4人の中でもあっさりしてそうな2名の視点を選んでしまった時点でなんか、あの、はい。笑
レシピ本は数日前に店で見かけて、兄貴が「誕生日近いし買ってやったらどうだ?」とか王子に提案したけど、
「良いって、無駄遣いすんなとか怒られそうだし」とかでその場では買わなかったけど、
その後思い直したのか密かに一人で買ってました的なのが…良いなって…
どこまで捏造して良いのかがわからない/(^o^)\
プももっと絡めたかったけどうまく出来なかったです。反省。
今回のとはまったく別でプロノク書いてる途中なので許してください。(???)


話脱線しましたが、軍師様の強い意志には心打たれました。
あの…9章以降ね…(小声)
これからも見守っていきたい。そしてもっと色々書きたい。
XV好きすぎてもう、大変です。
みんな大好きすぎて困る。4人とも大好き…。
おめでと、軍師様!!